業者さんが家の塗装をするのを初めて見た、自分の家なのに。
私が家を建てたのは上の子が小学校に上がった時だから30年ほど前のこと、その子供は父親になり、私はお爺ちゃんになった。
私が建てた家を外壁塗装するのは、これで3回目らしい。
私、「何色で塗るの?」
妻、「暗い色だと気分が滅入るから、明るい色が良いわ」
私、「建てた時は何色だった?」
妻、「覚えてないの?」
朝早くから夜遅くまで働いたため、家を眺める余裕は無かった。
新築当時に撮った家の写真を見てみると、外壁は白色、陽が当たって輝いていた。
塗装をしてもらいキレイになっても、築30年以上経っていると、老いた私と同じで家は甦らず古さを感じる。
子供達は親元から巣立ち、家に居るのは私と妻だけ。
今回の塗装は望んでしたわけではない、子供の口から「一緒に住もうか?」と言ってもらえなかったから。
子供と住むことになれば、外壁塗装はせず家を建て替えるつもりだった私と妻。
定年退職後は蓄えを切り崩して暮らしているため、今回の塗装代は家を建て替えるためのお金から工面した。
塗装をすると子供は「キレイになったね」、それを聞いて老いた私と妻は「見た目だけよ、中身は私達と同じでボロボロ」と内心思ったのだが、自分達の口からは「一緒に住もう」とは言えない。
長引けば長引くほど蓄えは減ってしまう、そうなれば家の建て替えは困難になる。
子供と一緒に住めるなら私と妻は1つの部屋で良い、小さい部屋で良い、陽の当たらない部屋で構わない。
外壁塗装をしてもらうと、子供が「ここで住もうかな」と言い出した。
外壁塗装で外見はキレイになったが中はボロボロ、そんな家に老いた私達夫婦と子供家族が一緒に住む?「そりゃないぜ、息子」。