カラフルの中の赤茶色


私の実家は築100年以上が経っており、父親が子供だった時は茅葺屋根だったらしい。
茅葺屋根だと夏でも囲炉裏の火を絶やすことは出来ず、何かと面倒。
私が子供だった時も、茅葺きは残っていたが、茅葺きの上にトタン板が乗っていた。
屋根にトタン板が乗っていると、ポツポツと音がするため雨が降るとスグに分かった。
屋根のトタン板は傷むのが早いが、トタン板なら町の金物屋でも売っており、仕事が休みの日に父親が、痛んだトタン板の上に新しいトタン板を重ねて補修していた。
新しいトタン板はグレー色だが、錆びると茶色になる。父親は錆びたほうが古い家に合っていると喜ぶが、友達からバカにされる私は嫌だった。
家を建てたのは祖父、祖父が子供だった時は、何処の家も茅葺屋根だったらしく、茅葺きの上にトタン板を乗せることに祖父は反対した。
その祖父が「家を建て替えるか?」、私の友達の多くは現代風の家に住んでいるため、私は建て替えに大賛成。
しかし、父親は「父さん(祖父のこと)が生きている間は建て替えなくて良いよ」、それを聞いて子供だった私はメッチャショック。
そもそも家の建て替えを希望していたのは父親、なのに、建て替えに反対しやがった。
築100年以上も経っていれば、柱は傷だらけ。
意図せず付いた傷もあれば、柱には意図して付けた傷もある。
居間の柱には、私の身長を示す傷が数箇所付いている、父親が子供だった時の身長を示す傷も数箇所付いている。
家の建て替えとなると、傷の付いた柱は無くなってしまう、それは子供だった私にとっても寂しいこと。私より長く生きている父親、父親より長く生きている祖父は、私より寂しく思うだろう。
建て替えの話は無くなったが、屋根だけは茅葺きを取り去り現代風の金属屋根に変わった。
金属屋根はトタン板と違い長持ちする、しかし、長持ちさせるには塗装をしなくてはならない。
私の家が集落で築100年以上が経っているのは、私の実家だけ。子供の頃は友達からバカにされ古い家が嫌だったが、大人になると友達から羨ましがられるようになった。
山に登って集落を見ると、新しい家の屋根は花が咲いたようにカラフル、私の実家は金属屋根に変わっても茅葺きと大差無い赤茶色。
約10年周期で屋根塗装をしているが、毎回赤茶色。
次は違う色で屋根を塗ってみようと思うのだが、迷った上に辿り着くのは、やっぱり赤茶色。
私の子供は家の建て替えを希望するようになったが、あと10年もすれば子供の考えは変る、私も父親も変わったように。


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